お店でコーヒーのテストロースティングを!
テストロースティングで感じ取れるものは?


 当社で使用しておりますテストロースティング用の機械は、STA社500gとプロバット社のサンプルロースター2機を使用しております。自家焙煎や、ロースターでのテストロースティングの主たる意味としましては 1.新商品の味を決めるためのテスト 2.既存商品との味の比較 3.他(遊び?)などがあると思います。当社でも全ての商品を入港後にチェックしますが、製品(ロースティング済み)の状態で販売をしない当社にとって、テストロースティングは多少意味が違っておりますので、少しお話させていただこうと思っています。

 商品の品質チェックを行う場合、大きく2つの尺度があります。ひとつが【コマーシャル商品の尺度】であり、もう1つが【スペシャルティの尺度】になります。

 
【コマーシャルの尺度】とは、規定された外見上のサイズ、欠点、カッピング上での欠点、味が規準を満たしているか否かを見極める作業で、これに販売先の好みなども考慮し、カッピングを行ないます。時期により味が変わる可能性もありますが、あくまでも販売先の好みなどを考慮した結果で合否判定を出しています。この【コマーシャル商品の尺度】では、ロースティングはほぼ一定にしており、一般的な中煎りといわれる程度に仕上げます。テストロースティング中は、スプーンで絶えず香りの確認を行ないます。この香りはダメージ以外にもユニフォーミティの確認が出来ますし、非常に大切な作業となります。

STAコーヒー焙煎機

もう一方の【スペシャルティの尺度】では、テストロースティングの意味合いは大きく変わります。一度【コマーシャルの尺度】と同じ程度の中煎りでテストロースティングを行ないますが、この後規定値(当社スペシャルティコーヒー規準をご参照下さい;アグトロン50レベル)もテストロースティングします。最近ではこれ以外に2ハゼに入ったあたりの香りが変わるポイント(アグトロン45〜55当り。商品により異なる)のテストロースティングも行います。テストロースティング中は、全てアロマ(香り)と見かけのチェックをしています。

 投入後少ししますと、豆の色は少し黄色みを帯び、形状が小さくなった感じになります。この時の色の均一性は、土壌や環境、プロセス、樹齢などの条件によってバラツキ具合が異なってきていると推測しています。仮に同一の比較的フラットなエリア(似あたりなど環境がほぼ一定となる)で、樹齢、コンディションなどの条件が一定になりますと、色の付き方に均一性が出ますし、逆に樹齢やコンディションが異なっている複数エリアを混ぜた状態の商品は、均一性にかけるものが出てきます。最終的にはフレーバーや味の評価を行いますので、この見かけの審査は重要ではありませんが、テストロースティング中に注意して見ていますと、農園の管理方法、収穫後のプロセスなどが想像できるために、私にとっては重要な作業と位置づけています。

 この色を見ている時に、1つ気が付くことがあります。比較すると色が浅い状態の豆は、(比較論として)標高が低い、プロセスが速く終了した、樹齢が若い、養分が少ない豆など(ここではスペシャルティということもあり未成熟豆は列記しておりません。)に見受けられますが、プロセスが速い豆と、他の条件の豆では、テストロースティング中のアロマの量が異なっているという点です。プロセスが速い豆はアロマの量が多く、それ以外の条件の豆はアロマの量が比較的少ない傾向になります。また標高が低い、樹齢が若い、養分が少ない条件の豆は、似たようなキャラクターに感じ、スイートネス、マウスフィールに欠けた状態に感じ取れます。

プロバットコーヒー焙煎機

この結果は、産地に行った時に思い当たる色々な条件のサンプルを提供してもらい、別々にテストロースティング、カッピングさせてもらった時のものです。(何度もテストしたわけではないので、もっと他の条件もあるかと思います。判ればその都度レポートします・・・。) 

 この黄色みを帯びた状態からロースティングが進むと、1ハゼ(クラック)に入ります。このハゼの状態がどのように続くのかを私は重要視しています。これは機械によって異なりますので、一概にどの状態が良いということは書きにくいのですが、ハゼの状態が比較的短い(集中して起こっている)豆と、散発的に起こっている状態の豆が出てきます。均一性の高い豆は当然短時間起こっており、この時のアロマはテロアーによって生まれた透き通る独特のキャラクターがあるはずです。このアロマでスペシャルティか否かと判断することも出来るものも多くなっておりますし、このアロマの質の違いこそが、この後どの程度ロースティングすれば、最善のポイントなのか?を見極める重要な要素でもあると感じています。

 またハゼる時の音は、収穫されたエリア、環境などによって異なります。乾いた甲高い音や、鈍く湿った音、知らぬ間に始まっているような小さな音・・・。スペシャルティコーヒーの多くは乾いた甲高い音に感じ、この音質を楽しむだけでもロースティングは価値ある時間です。

 1ハゼ以降は、大きく分けて3つのタイプがある様な気がしています。この3つのタイプはアロマの形成にかかる時間と変化のタイプです。

 例えばエチオピアのイルガチェッフェ、エルサルバドル・サンタアナ、など小粒で生産標高も高く固い豆は、基本的なアロマの要素は1ハゼで感じ取れるのですが、この後時間をかけて序々にアロマが変わっていきます。つまりロースティングによってキャラクターは変わり難い反面、素晴らしいと思われるポイントが見つけにくいのがこのタイプです。このタイプはどんどん色々なロースティングを行い、新しい発見の為にポイントを探すタイプだと思っています。再現性が非常に難しいと思いますが、職人気質の方に好まれるタイプです。

 次にコスタリカのセントラルバレー、ウエストバレー、グアテマラ・ウエウエテナンゴ、ニカラグア、タンザニア、ケニア、コロンビアの標高の高いエリアなどでは、ロースティングが進むと香りがどんどん変化します。ただ比較的ポイントが絞り込み易いタイプで、一度思い切ってかなりダークローストまですれば、どのポイントでどのようなアロマがどの程度出てくるのか判断が付くと思います。遊びでのテストロースティングでは一番楽しいタイプで、この七変化がどう化けるのか?興味津々でロースティングが出来るタイプだと思います。再現性は思ったよりも簡単だと思いますが、味の好みによって色々な商品に出来るため、同じ原料でもお店によって売られている商品は全く違った風味に感じ取れるタイプです。

 最後はブラジルブルボンなど比較的豆質が柔らかいタイプの物です。一番繊細ですし、難しく、火のかけ方や、ほんの少しの条件で非常に出来上がりが変わってくるタイプです。中米に比べると強いアロマが出ないため、アロマでの見分けも難しく、何時も厄介に感じています。このためテストロースティング中の色の変化やアロマの質、ハゼ音などは他のタイプ以上に気をつけて見ています。ロースティングすればするほど判らなくなるタイプですが、ポイントが合えばこの世の物と思えない素晴らしいコーヒーに仕上がる気がします。

 


 また、1ハゼのアロマの質と量は、コーヒーのキャラクターとして重要な要素ですが、テストロースティング中にこの要素の確認は簡単にできると思います。(アロマの量は、大きな釜よりも小さい釜の方が確認しやすいように感じますし、色のバラツキなども小さい釜ほど確認し易いのではないでしょうか?)このアロマの質の中には、透き通る乾いたフルーツのようなアロマ、少し強く爽やかな感じのアロマ、ナッツ・チョコレート思わす甘いアロマ、ドライフルーツのような濃厚さが残るアロマ・・・と様々な物がありますが、これがその後続くロースティングの中で、どのように変化し、どこで一番素晴らしいと感じ取れるのかを決めるポイントとして確認を続けます。テストロースティングは2ハゼ近くで終了させていますが、決してこのポイントに固守する必要はないと思っています。

 本当に素晴らしいポイントが見つかれば、その状態を使ってカッピングすることは非常に重要であり、素晴らしい農園の認識も容易にできると思います。スペシャルティコーヒーとは、個性が際立ち、量感があり、素晴らしいフレーバーを伴っているのが条件ですから、テストロースティングの1つ目の役目は、このポイントを探しているに過ぎないと感じています。またこのポイントが見つかり、カッピングを行う時に、農園の素晴らしさを実感してください。そうすると、次回再度テストロースティングを行う時には、別の何かが見えてくると思います。

 全てのコーヒーは、遥か彼方、見知らぬ土地で生産され、長い時間と、多くの人々の手によって、やっとあなたの前に辿り着いたのです。以前は、素晴らしいコーヒーと出会うのは何かの縁だと感じていました。でも現在は日本にスペシャルティコーヒーの時代が訪れ、決して二度と会えない物ではなくなっています。また来年、新しい装いで出会えることを願い、テストロースティングやカッピングをして下さい。そうするとまた来年、あなたの前に素晴らしいコーヒー達が訪れると思います。

 しかし現実問題としましては、テストロースティング用の機械をお持ちのお店は少ない様な気がします。手網や、炒る炒る、富士珈機販売の‘煎っ太郎’、またはお店の釜に500gなど投入・・・と様々です。当社で使用していますプロバット社やSTA社のサンプルロースターも、軽自動車並みの価格ですから、直ぐに買える代物ではないのはよく理解しているつもりです。それでも味を作るためには必要な道具ですので、小型で、安価な機械はないか???と何時も探しておりました。

 

せっかくですので、今回は1機種テストロースティング用の機械をご紹介させていただきます。

MEICOFFEE MPR2000です。
メイコーヒー焙煎機
 

 この機械は、時間によってロースティング度合いの設定を行っている物で7段階の調整が可能です。1回の投入量は約50gのタイプで、無理に100g入れて作動させましたが、動きますが上手く焼けません・・・。ロースティングには約20分程度かかり、熱源は付いたり切れたりしながらロースティングを行なっています。(非常に変わっています!)見た目の質感も良く、価格の割に重厚感(外部がステンレスでできています。)があります。当然上部の蓋はロースティング中も開けられますのでアロマの確認は可能で、逆にあけた状態でロースティングした方が、フレーバーが良い(?)様な気がしましたが・・・。出来上がった焼豆は右下のポケット部分(下は網状です)に落とされますが、クーリング能力が無い為に、団扇で冷やしてください。

メイコーヒー焙煎機 あと一点注意して頂きたいのが、この機械は煙が抜けにくいのが難点で、2ハゼを越えるとアロマが濁ったように感じを受けます。このため2ハゼ前までの限定で使用するのであれば、非常に楽しい‘おもちゃ’です。もう直ぐボーナスシーズン到来!自称コーヒー通も唸る出来栄えです。

 そう言えば、ここ最近街には洒落な雑貨屋さんが増え、可愛らしいキッチンウエアーに目移りしています。逆に今回のこの機械は非常に男性的な力強さを感じさせますが、マニア受けしそうな外観以上に、しっかりと仕事をしてくれる質実剛健さを感じました。

ご興味があれば当社までご一報下さい。

 

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