コスタリカ スペシャルティコーヒー 農園レポート(V)   
HELSAR ZARCERO
(エルサル サルセロ)

 ウエスト・バレーのZARCERO(サルセロ)町。その標高1,600m〜1,750mの高地に二つのファミリーが共同で経営しているマイクロ・ウエット・ミル(ミラ・モンテス・ミル)があります。エリア名:Llano Bonito Loardes Barrenca Zarcero

このミルでは、有機栽培された3つの農園(サンタ・ルシア農園、ロス・アノノス農園、ドニャ・イリアナ農園)のコーヒー(品種はカツーラとカツアイ)と、標高1,500〜1,900mに散在する近隣農園から運ばれたチェリーを精選していますが、チェリー投入槽や醗酵槽並びに乾燥場も別々に分かれており、混入を防いでいます。
1〜3月に近隣の20農家からコンベンショナルで栽培(ブルボン:100袋、ティピカ:150袋、カツーラ&ブルボン:300袋)したチェリーがミラ・モンテス・ミルに持ち込まれて精製されていますが、セミ・ウォッシュド(ハニーコーヒー)も一部作っています。昨年に引き続き、今年もジリオ農園ではハニー仕上げに加えナチュラル仕上げも作りました。非常に野生的なフーレーバーと力強い味を持っています。ジリオ農園はサルセロ・エリアで最も高地にあり標高は1,900mです。
 オーガニク・コーヒーは、今年はサンタ・ルシア(200袋)、ロス・アノノス(280袋)、イリアナ(30袋/ロス・アノノスのフェリッペ・ロドリゲス氏の奥様所有)で約510袋生産しました。
「精選行程」Penagosを今年入れ替えたことから、1級品と2級品の分離が以前にも増して良くなった。
@夕方4〜7時にチェリーが入荷し、石や重いものを取り除いた後、果肉除去して、翌朝6時頃まで約 12時間発酵槽でヌメリを取る。
Aヌメリを除去しそのまま発酵槽で水洗いをした後、ポンプでパーチメントを水と一緒に汲み出し水気を多少取ってから、スクリーン・ハウス(風通し可能なビニールハウス)で6〜7日間乾燥させる。乾燥場はオーガニックとコンベンショナルに分けており、混ざることは一切ありません。

トレーサビリティがしっかりしており “チェリー受け取り時刻” “果肉除去した時間” “パーチメントを発酵槽から出した時間” “乾燥場に出された時間” “乾燥時間” が明記されています。このシートを年2回、有機認定の検査員がチェックに来る上、国の農業省の検査員も年2回チェックに来ています。天候が悪かったり、収穫最盛期にはパティオでの乾燥が間に合わないことから、コモディティコーヒーに関しセッカドールを使用することがあります。
また、昨年カーボン・オフセットの認可が下りましたが、コスタリカの国立大学とControl Unionが共同で審査しています。電気使用量、煙排出量を計算し、基準値にあっているか?合っていなければ広葉樹数(シェード・ツリー、コーヒー樹でもOK)を増加させる必要があり、今年は100本植える(場所はどこでもよく、飲み水が出る場所に植える予定ですが、3年間は元気に樹木が育つよう管理は必要です)よう指示が出ています。これにより、日本の神戸港まで輸送するCO2は相殺されます。樹木1本当たりどれだけCO2が吸収できるかを計算し、足りなくなる分を植樹することになりますが、エルサルでは89トンのCO2が排出されると計算されています。
コスタリカでは国の法律で2021年(独立200周年)にはCarbon Neutral宣言をすることになっており、他の農園や精製工場も同様の動きをすることになりますが、オーガニック栽培は化学肥料を使用しているところより対応がしやすくなります。

カーボン・オフセット申請受理書 JASオーガニック認定書

「施肥」80%/MICRO ORGANISMO EFCIENTE/EM(微生物分解リキッド)で分解した果肉を木の根元に四角く掘った穴に撒く。
有機肥料としてムシラージを取った液をタンクに溜めて噴霧 20%/K・MAGと燐灰石を撒く。
「散布剤」EMと硫黄、TRICHODERMA(有機肥料)/オホ・デ・ガージョを殺す菌類(微生物)に加え、除去された果肉を発酵させた有機肥料も一昨年から作り始め、今年は生産量増加を受け、昨年以上に多く施肥できたことから、葉も実も良くなりました。また、自然ミネラルはJasが認めていることから、火山灰をミネラルとして農園に撒いています。

除去後の果肉を堆肥作り場所へ移動 EM ムシラージ混合液とEM混合液
堆肥作り 堆肥作り 完成堆肥

今年はNYCの高騰を受け、世界的なトレーダーが異常なほど高い価格でチェリーを買い付けています。3月初旬時点でコンベンショナルの買い付け価格は$230〜$240/1キンタルとなっている上、約14%ドル安(1年前は$1=570コロン、現在は$1=500コロン)となっており、エルサルの手取りが減少しています。エルサルは100%完熟豆に対し、トレーダー買い付けは極論、チェリーであればなんでも良い状況です。そこに、精選コストも$54.22/1キンタルかかっており、コストは単純に$300近くになっています。この試算はあくまでコンベンショナルで、オーガニックだと少なくとも$60はアップし、コストは$360以上になります。
この状況を考慮し、買い付け価格を上げて欲しいとの要請を受け、今回は例外的に¢70のアップを了承しました。


@SANTA LUCIA(RICARDO PEREZ)
農園主:Ricardo Peres氏
標高:1,600m、農園面積:12.5ha(コーヒー11ha)
品種:CATURRA(カツーラ)、CATUAI(カツアイ)ツーラ)、VILLA LOBOS(ビジャ・ロボス)
生産量:200袋

有機肥料が撒かれた道路

シェード・ツリー:PORO(窒素を固定する豆科)、AVOCADO、RIMON、ANONA(果物)、FRIJOL GANDUL(窒素を固定する豆科)
高地で気温が低い(14.5〜21.5度)ためブロカの発生はありませんが、寒さからOJO DE GALLO(オフォ・デ・ガージョ/雄鶏の眼)が多く発生し、減産要因となっています。また、除草は草刈機を使用しますが、シェード・ツリーの落葉が草の発生を抑えるため、手間は少なくて済むようです。
降雨量は平年2,300ミリ。今期は2,800ミリと多く、昨年10から11月にかけて集中していた。
平均:15〜22度  火山灰土壌
「施肥」80%/MICRO ORGANISMO EFCIENTE/EM(微生物分解リキッド)で分解した果肉を木の根元に四角く掘った穴に撒く。有機肥料としてムシラージを取った液をタンクに溜めて噴霧 20%/K・MAGと燐灰石を撒く
「散布剤」EMと硫黄、TRICHODERMA(有機肥料)/オホ・デ・ガージョを殺す菌類(微生物)。
ミラ・モンテス・ミルで製造した有機肥料等を施肥しています。
農園には黄実や赤実のビジャ・ロボスやカツーラが栽培されており、丁寧に完熟したチェリーだけが摘み取られています。

農園主のリカルド・ペレス氏は25年前に土地を購入した時には、当然、コーヒーもシェード・ツリーも無く、コンベショナルコーヒー栽培を始めました。しかし、当時、このエリアは水が無く天気任せだったことから、生産量は安定しなかったものの、割と多く生産できましたが、化学肥料の影響で土地がダメになったのをきっかけに、15年前から化学肥料投入を減少させ、同時に10年前に水を汲み上げるポンプを設置し、散水ができるようになってから、環境に配慮し化学肥料を止め、完全な有機栽培に切り替えました。
 しかし、オーガニック栽培は、堆肥作りが高くつく上、多量に施肥が必要になり、コーヒー樹が養分を吸収するまで時間がかかり、収量も多くはありません。また、利益はオーガニック栽培にしてから減少しましたが、収量の変動が少ない上、コスタリカでは政府からの制約より、生産者を助ける(農業技術等や税金がコンベンショナルより安い)法律が多いので、長期的展望に立てばクリアできるとしています。

ALOS ANONOS(MARVIN RODRIGUEZ,FELIPE RODRIGUEZ)
農園主:MARVIN RODRIGUEZ,FELIPE RODRIGUEZ兄弟
標高:1,650m、農園面積:9.5ha
品種:CATURRA(カツーラ)、CATUAI(カツアイ)、VILLA LOBOS(ビジャ・ロボス)
生産量:280袋
火山灰土壌で、年間降雨量は2,300ミリ(平年)。平均気温22℃。

高地で気温が低い(14.5〜21.5度)ためブロカの発生はありませんが、寒さからOJO DE GALLO(オフォ・デ・ガージョ/雄鶏の眼)が減産要因となっています。また、除草は草刈機を使用しますが、シェード・ツリーの落葉が草の発生を抑えるため、手間は少なくて済むようです。

シェード・ツリーの役割も果たしているアボカド(有機栽培)やナナ(チェリモア)も収穫でき農園コストが抑えられています。HIGO(西洋無花果)、ANONA(果物)、アプリコット等もシェード・ツリーとして植えられています。

BDONA ILEANA
農園主:DONA ILEANA RODRIGUEZ
標高:1,675m  農園面積:5ha  品種:カツーラ  生産量:30袋

フェリッペ・ロドリゲス家

EXCLUSIVE COFFEE

 フランシスコ・メナとブルマス・デ・ツルキーのファン・ラモンが中心となり、参加ファーマーは15農園となって、エクスクルーシブ・コーヒーは活動しています。当初設立時は8農園でしたが、現在では50程度に増加しています。
当初はカフェティンのティム・オブライエンも発起人となっていましたが、アメリカに帰国しなければならなくなり、アメリカのカフェ・インポートの社員となったことから、エクスクルーシブコーヒーから離れました。
昨年、セントラル・バレーの商工団地に移り、精選工場・倉庫・事務所を作りましたが、約1億円かかったようです。しきりに先行投資で未だ経営は苦しいと話しています。

現在、スペシャルティを年間2万袋取り扱っており、内、パナマは5千袋、ニカラグアは千袋のようですが、精選能力は月間2,500袋なので、未だ余裕があるとの事。
エクスクルーシブ・コーヒーは新しい物を取り入れて革新的な動きをしていると同時に、生産者との結び付き強化を図るため、事務所で頻繁にカッピング教室やセミナーを開催しており、デリ・カフェとは違う動きをしています。
一方、ドライミルは所有したものの、ウエット・ミルは所有していないことから、各地のマイクロ・ミルやウエスト・バレーにあるイタリアのセガ・フレッド・ザネッティが作ったドライ&ウエット・ミル(Beneficio Seco La EVA)を利用しており、問題は出ていません。
また、バキューム・パック(50lb)やグレイン・プロ(Grain Pro/69kg入り)を積極的に取り入れています。V.P(7層フィルム)は+¢15、G.Pは+¢5ですが、扱い数量が増加すれば、V.Pはプラス¢10程度まで下がりそうです。
中米では、両方を積極的に取り入れる業者が増加し、バキューム・パックはパナマ・エスメラルダと同じものを使用しており、欧米のロースターから劣化しにくいとの評判が高いようです。一方、グレイン・プロは麻袋臭が付かないことから利用者が急増していますが、極論すれば単に二重包装しているだけで真空対応もしておらず、温度変化による蒸れは無いとは言い切れません。
欧米はリーファーコンテナ利用が少なく、利用価値は高いかも知れません。ただ、V.Pはコンテナに7段(約170袋)しか積めず、8段以上積むと下段のV.Pが破損するため、250袋分はコンテナに積めないことからフレートも約2倍になり、高く付くことになります。
この日は、2年前から取引のあるSwedenのKOPPI(マイクロ・ロースター)のチャールズとアンが訪問しており、翌日も数社が訪問してくるようで、フランシスコ等は忙しい日々を送っています。

MICROBENEFICIO LA LIA TARRAZU
標高1470mに精選工場があり、1,000ファネガを処理しています。
4年前にマイクロ・ミルを作り、自社所有の5農園全てのコーヒーを精製している。
@         The Dragon (400ファネガ)
A         Santa Mart  (250ファネガ)
B         San Isidro   (100ファネガ)
C         San Lorenzo (100ファネガ)
D         Santa Rosa/La Lia (150ファネガ)
品種はCattura主体ですが、ゲイシャ、イエロー・ブルボン、レッド・ブルボン、ビジャ・サルチーも多少ある。
訪問時は農園主のLuis Alberto Monge氏が腹膜炎で入院しており、弟のOscar氏に話を聞きました。収穫も精選も最終段階に入っており、乾燥場にはコーヒーは少ない状態でした。
収穫時期は11月〜3月
タラスのSan Lorenzoの標高1,900mに広がるラ・リアはカツーラ、ブルボン、ティピカの混植で、ドライ・ミルはエクスクルーシブ・コーヒーを使用しています。

弟のOscar Monge氏
ブルボン・ティピカ・ゲイシャ等苗床 買い付け分
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