グアテマラ スペシャルティコーヒー 農園レポート(T)

FINCA FLORENCIA
サスティナブルなフロレンシア農園は4代、130年に亘って引き継がれ、現在はヘラルド・フローレス氏(息子1人、娘1人)によって運営されており、グアテマラ県ビジャ・カナーレス市のアマティトラン湖南東に位置しています。

農園面積は120ha。内80%でブルボンとカトゥーラに加え、一部ティピカ(50袋)やブルボン・シット(70〜80袋/6ha)が栽培されおり、残りの10%は植林地、10%は自然林を作っており、自然環境に配慮しています。

全てのプラントはシェードツリーの下で栽培されおり、農園内の生態系を維持させるために、シェードツリーには自生林を利用しています。又、生態系のバランスを維持するために用材林の植樹もしています。ここ数年精選処理技術の向上に努めており、その成果として2008と2009年のカップ・オブ・エクセレンスで入賞を果たしています。パルピングされた果肉はミミズを利用した有機肥料(除去されたコーヒーの果肉を食べさせ、その糞を利用)に生成され、これが施肥された土壌は肥沃となって苗木植え付けには最適です。苗木植え付け後には化学肥料を利用しています。

完熟したチェリーだけの収穫を徹底させ、そうすることで品質を保証しています。収穫人には$6.5/袋(50kgチェリーが入る)と、グアテマラの平均($4)を上回る高給を支払っている上、農園内に住居を建てて収穫人に住まいを提供し、3食も保証しています。収穫人はサンマルコスやケチャから呼んできています。

最盛期には収穫人が200人従事していますが、収穫が最終局面を迎えている現在は100人となっています。フローレス氏と農園管理者のドミンゴ・グスマンの下、収穫に励んでいます。
過去生産量の最大は3,000袋ですが、昨年からカットバックの真っ最中である上、昨年のパカヤ火山噴火や洪水の影響を受け、生産量は昨年同様の1,500袋に留まりました。

今年はグリーンハウス(ビニールハウスの乾燥場)も作りました。グリーンハウスは乾燥が短期間(8〜47℃で8日間/湿度60%)で仕上がるので、一斉収穫時に力を発揮します。一箱に46kgのパーチメントが入り、1列に22箱、4列で合計88箱。つまり、約4トンのパーチメントが8時間で仕上がります。最初は15分毎に、その後は1時間毎に攪拌し、乾燥を均一にしています。

Bourbon
標高1500から1550mのエリアにおいて75haの農地で栽培されおり、今年1月10日から第一回目の収穫が始まり、2月20日まで継続し、1,000袋以上の生産が見込まれています。今期は開花が2回で早く収穫が完了したことから、品質も非常に良い。

道の右側にはブルボンが、左側にはブルボン・シットが作付されています。


Bourbon Cito
  (ブルボン・シット)

コスタリカのコーヒー研究所から苗木を買い付けた品種。Bourbonの中で樹高が1.8m以上にならず、且、味覚やフレーバー等がBoubonと同様の種子を選別したもの。
20haに5,000本/haを2007年9月3日に植え付けており、今年は本来250袋を見込んでいましたが、パカヤ火山噴火に加え洪水で75袋(69kg)と、昨年の40袋から僅かに増加したに過ぎませんでした。来年度はNARANJO区画も収穫できることから100袋以上が見込まれています。
@綺麗な酸 A甘味 Bフルボディ が特徴です。


☆アンティグアのサンタクルス、サンタクララ、ラ・フォリー、プエルタ・ベルデの他に、アロテナンンゴ(Alotenango/アンチグアとの境界線に位置)のカンデラリアでもブルボン・シットは一部栽培されています。


Typica

Joya(ホジャ/宝石)と呼ばれる2haの区画で栽培されており、今年は75袋が見込まれていますが、生産性が低いことからグアテマラでは殆ど栽培されていません。しかし、フローレス家が農園を買い取る前から、200年に亘って生育している貴重な品種であることから、継続栽培しているとの事。
*ウェットミルでは状態の良いチェリーだけを精製するために、チェリーの外見や重量をチェックし、発酵工程では18−24時間かけて自然発酵させた後、綺麗な水で洗ってパティオで100%天日乾燥させています。除去された果肉はミミズに食べさせて有機肥料となります。



EL INJERTO I
エル・インヘルト農園は、1874年にヘスス・アギーレ氏によって開園され、現在農園の運営は、創設者一族4代目のアルトゥーロ・アギーレ氏と父親(3代目)が行っています。

インフェルトI農園

当時はサトウキビ・トウモロコシ・インゲン豆・ソラマメ・タバコを栽培しており、コーヒー栽培を始めたのは1890年のことですが、始めた当時は一番コンディションが悪い土地で栽培していたようです。
農園はグァテマラのウエウエテナンゴ県南部に位置し、周囲を熱帯雨林や山々が囲んでいます。グアテマラ・シティから車で約7時間の距離ですが、今回は時間の制限もありヘリコプターで移動。飛行時間は1時間強で農園主のアギーレ氏が同行しました。
農園面積は720haで、内、コーヒー栽培面積は250haです。残りの470haは自然雲霧林をそのままの状態で維持しています。標高1,440−1,950mで年間降水量は1,500−2000o。平均気温は18−22℃で湿度55−80%というこの土地特有の小気候が、スペシャルティコーヒーの生産には理想的な環境になっており、4世代にわたりこの環境の維持に努めています。

「自然環境への配慮、最新で効果的な技術、熟練した労働力、徹底した品質管理、より質の高い種子・肥料等の投入」が近年のキーワードとなっています。
収穫人は熟練した人ばかりで、完熟した状態のチェリーだけを見極めて摘んでいますが、これには高い技術と経験が必要なので、彼らにはより高額の報酬を支払っています。収穫人への支払い方法は、集荷場にある3つの計測タンクが基準となっており、一番大きいタンクで50kgのチェリーが入り、25kg・12.5kgと小さくなりそれに応じて対価が支払われます。大きいタンク一杯で8ドル、中サイズで4ドル、小サイズで2ドルとなりますが、完熟したチェリーしか受け付けられないので、どのピッカーも注意を払っており、事実、集荷場に着くチェリーは一様に完熟していました。一方、計量を待っている間の娯楽として大型のテレビ画面で映画を見せています。また、この計量所には自由に飲めるコーヒーと飲み水が用意してあります。

計量中 収穫人の住居
コーヒーと水のサーバー

又、様々な指示や確認を素早く行うために各収穫人(家族単位)には1台づつ携帯電話を、現場責任者にはトランシーバーを配布し意思疎通を図っています。生活面でも最大の配慮を行っており、週一回医師が診療にやって来て薬代の1部を農園が負担しています。その他にも電気・水道・ガス・ベッドを配備した住居提供に加え毎日トルティージャの配布といった生活しやすい環境を整えています。「農園内では働く人は皆家族だ」とアギーレ氏が言うように、全員としっかりコミュニケーションをとっています。労働者の生活を一番に考えているからこそ、価格が高くなってしまうと話していましたが、その見返りが高品質コーヒーとなっています。

☆栽培品種は今までブルボン、カツアイ、カツーラ、パカマラ、マラゴジーペの5種類ですが、他に実験栽培として様々な品種を植え付けており、高度特性把握に努めています。販売品目としては、100%ブルボン、パカマラ、マラゴジーペに加え、カツアイ、カツーラ、ブルボンが混植されたトラディッショナルの4種類でしたが、今年からイエロー・カツアイ、イエロー・カツーラがブレンドされたイエロー・ナンス(イエロー・ブレンド)が加わって5種類となりました。

昨年に引き続き異常降雨で減産になるのでは?と心配しましたが、生産量は16コンテナ(4,000袋)あり、ホットしました。


ブルボン

複雑、洗練された酸。ジャスミンのような甘さとかすかな桃の甘さに加えトロピカルフルーツ、シトリック、ライム、ぶどう、ブラウンシュガー、クリーミーなボディとデリケートで素晴らしい味わい。パカマラ・エリアの上方で標高1750mに位置するQuequaltenangoエリアのブルボンを当社用に買い付けしています。今年は後1回で収穫が完了(3月中旬)する予定。


パカマラ

パカマラ マラゴジーペ

とても複雑、素晴らしいボディ、バランスの取れた、クリーンな甘さ、何種類ものフルーツの層、複雑な香り、フローラルでシトリックから桃に変わる並外れたロングアフターテイスト、調和の取れた酸、オレンジ、スパイシー*パカマラは大きな葉に覆われていることから収量は目視での予想が立てにくい。ただし、収穫人にとっては大粒であることから少ない量で籠が満たされるため好まれるとの事。マラゴジッペも同様。

マラゴジーペ
クリーンカップ、エレガント、強いボディ、シトリックでフローラルな味

トラディショナル・ブレンド

サンタ・ロサ区画

ジューシーでウエウエテナンゴ特有のフルーツの味。クリーンカップで複雑、際立った酸、素晴らしいボディに加え、非常にバランスがとれている。
*トラディショナル・ブレンドはブルボン、カツアイ、カツーラが混植されており、エリアによって混植内容が違いますが、今回、数ヶ所あるトラディッショナル・エリアの内、カツアイ50%、カツーラ30%、ブルボン20%の混植となっているサンタロサ区画(400〜500袋生産/標高1,600から1,650m)の内、東からやや北向き斜面で午後に強い日光が当たらず、寒暖の差が生まれ実の引き締まった上質のコーヒーが獲れるエリア(300袋)を当社用に指定しました。この区画を区別するため、イソテを区画の周りに植え、しかもシェードツリーにはこの区画だけマカダミアの木を植えています。
因みに、このエリアのすぐ上(標高1,650m〜)で栽培されているブルボンがCOEの1位を獲得しています。

イエロー・ナンス
  (イエロー・ブレンド)

イエロー・カツアイとイエロー・カツーラが約50%づつがソロラ・エリアで混植されており、昨年からイエロー・ナンスとして販売を開始しました。昨年は異常降雨で予定を下回り50袋しか生産できませんでしたが、今年は100袋程度が見込まれており、全量買い付けしました。
*黄色い実がこの地方で栽培されているトロピカル・フルーツのナンスに良く似ていることから名付けられました。

インヘルト農園では、今までエリア毎の出荷をしていないため、今後は当社のようによりトレーサブルな環境を整えていく方針を打ち出し、将来的には全ロットをエリア別に出荷する予定。
各エリア名は現在グアテマラの県名をつけているため、買い手に別産地と間違えられてしまうので、昨年からエリアの再整備を行い、名前もつけ直す計画。(1エリアが大きいので、細かく分ける予定)
但しアギーレ氏の計画によると、昨年から徐々にカツーラを重点的に植えおり、割合を増加させる意向です。カツアイはこれ以上増やすつもりはなく、カツアイを抜いてカツーラを植えると思われます。よって比率も変わっていくので、エリアによっては味の傾向の変化に注意が必要。

コーヒー果肉EM(ボカシ肥)
ミミズによる有機肥料

施肥について、EM(ボカシ)とミミズによる有機肥料(堆肥)を使用し、農薬を使わず自然との共存を実践しています。EM−0.5lb/1本、有機肥料−2lb/1本の割合。

【完熟したチェリーだけを収穫→高値で販売できる→利益を労働者に満遍なく還元→労働者は他農園より高水準の生活環境・収入を手にできる→生活水準・環境の維持のために完熟したチェリーのみを収穫】このローテーションによって農園と当社の取り組みが成立。又、農薬不使用や汚水のろ過と酸素処理など特別な小気候の自然環境保護に努めていますが、これはコーヒーの精製時に使用する湧水の確保や鳥や動植物の住処を奪わないためである。年間1,000本の木(モミ、イトスギ、クルム、松など)を植樹しています。


インフェルトの特徴

@植樹

個別に選抜された種子のみを使用、ビニールで汚染しないようにtubete(環境に優しい物質?)を使用、苗床で10ヶ月間育成しています。苗木は3種類のシェードツリー(インガ、グラビエラ、マカダミア)の下で栽培され、土壌にストレスを与えないために農薬は使用せず。土質と葉の分析を行っている。

Aチェリー

赤く完熟した実は糖分が詰まって最も甘く、熟練の収穫人による完全手摘みで、完熟した実だけ収穫。収穫期には毎日脱果肉処理を行い、工程と選別は「グレード・比重・サイズ」別に実施。

Bウェットミル
全ラインを清潔に保ち、毎日清掃。

発酵は36〜48時間かけて行い、綺麗な水を使用。汚れや菌の付着を防ぐために槽の床をセラミックにしている。

Cドライミル
1〜3日間パティオにてプレ乾燥させ、その後乾燥機にかける。この時は、マシン内の温度を50℃以内に保つ。
パティオでの乾燥時にムラなく乾燥させるために、パーチメントコーヒーの層の厚さは最大3cmまでにし、絶えず攪拌する。
*各精製処理工程において経験豊富な人材を責任者として配置し、徹底した品質管理。最新かつ効果的な技術として、湿度計やサーモスタットの使用・燃料として脱穀後の殻(パーチメントの外殻)の利用・通気性の高い保管庫の使用・75%の機械設備の稼動。

D袋詰めと保管
ロット毎・品種毎に袋詰めし、分けて保管(品種ごとにタグの色を分けている)。倉庫は通気性に優れた設計をしている。


E農園内のチェリー運搬道の整備(18km)
収穫に向かう為、大型トラックで搬送する為、道の整備をしている。

F焙煎工場

プロバットに加えデートリッヒを導入して焙煎。ここで頻繁にカップ・テストを実施し、生産品種や精製方法の味に対する影響度や差異を確認させ、社員の意識改革を目指しています。また、焼き豆を袋詰めしてグアテマラ・シティのインフェルト・コーヒーショップで販売もしている。*カフェ設立の理由は、グァテマラ国内では2級品やインスタントコーヒーしか飲まれておらず、美味しいコーヒーを飲む機会さえなく、上質なコーヒーの産地でありながらそれを飲めないのはもったいない、との考えから消費者にグァテマラコーヒーの味を知ってもらい意識を変えるためにオープンした。店内はコーヒー樹を剪定した太めの枝を天井に飾り、入口の上に麻袋を置いたり、日本の顧客から頂いたインヘルト製品を棚に飾るなど、積極的に取り組む様子が窺えます。又、店内には無料配布のコーヒー専門雑誌が置かれ、消費者のコーヒーに対する理解度を高めようとする動きが窺えます。

取得認証−レインフォレストアライアンス、プライベートナチュラルリザーブメンバー、カフェプラクティスィズ(2004・2005年)、ネスプレッソ(2008年)

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