バテイアのコーヒー生産
エスピリット・サント州カステロ市の農村部に位置する小さなコミュニティであるバテイア。この地域は宝石や鉱物の採掘地として開拓された歴史を持ちます。コミュニティのバテイアという名前も泥を落とし砂金を採取する道具の名前に由来しています。この地を開拓し移住した人々がコミュニティを形成した地域柄、現在バテイア集落に暮らす人々の多くが親戚関係にあり、トマジーニ家、ナリ家は開拓期からこの地に暮らす主要な家系と言われています。コーヒー生産においては、現在は3世代目、4世代目の世代となり、エスピリット・サント州バテイアのスペシャルティコーヒーの生産者と言えば、トマジーニ、ナリと言われるほど2つの苗字は地域の枠を超えてその名を知られるようになりました。
マルコス・ナリ氏は3世代目のコーヒー生産者で、1978年に自身の農園を興し、コーヒー生産に従事してきました。公的な農業機関や専門家によって高品質なコーヒー生産に向けた技術が2000年ごろにこの地域に伝わると、ナリさんは早速、生産処理や農園管理といった品質向上に必要な技能を学び、投資を行いました。しかし、当時は彼らの暮らす地域のコーヒーに興味を抱くバイヤーはほとんどいない状態であり、従来と比較して価格はあまり変わらず、労働に見合った対価を得ることができませんでした。マルコス氏は、自分の暮らす地域に高品質なコーヒーを求める市場が無い事に落胆し、スペシャルティコーヒーの生産を諦め、コモディティの生産に戻しました。