インドネシアの生産処理
インドネシアのコーヒーは非常に長い歴史を持つ反面、コレクターを仲介する独自の流通形態やこれによるウェットハルと呼ばれる独自の生産処理プロセス、また近年のコーヒーマーケットの望むトレサビリティなど、長く独自の歴史を持つがゆえに、スペシャルティコーヒーの市場へのアプローチに遅れを取ってきました。近年は、品質を重視し地域に根付いたコレクターの活躍や、ウォッシング・ステーションの設立、地域農協の取組み、Cup of Excellenceなどのコンペディションにより、市場に変化が齎されています。
インドネシア独自の生産処理であるウェットハルは、収穫したチェリーを手回しや電動式の果肉除去機でパルピングし、農家の持つタンクなどで発酵、その後水洗し、パーチメントコーヒーに仕上げます。その後、農家は半日から2日程度初期乾燥をさせます。この初期乾燥は生豆の乾燥というよりも、その後脱殻するパーチメントを乾かすための初期乾燥となっています。
その後、パーチメントはコレクターと呼ばれる業者の手に渡り、大型の機械でパーチメントが脱殻され、生豆の状態で本乾燥を行が行われます。これが所謂スマトラ式と呼ばれる生産処理方法ですが、正確な起源は定かではありませんが、1970年代後半にアチェで生まれたと伝えられています。ウェットハルは、農家が迅速な支払いを求めていた事やスマトラに典型的な高湿多雨な気候条件から乾燥設備などのインフラを持たない小農家が乾燥リスクを負わない為に採用された独自の流通形式・生産処理と言われています。