こんにちは。ワタルの瀬下です。
SCAJ特集の第3弾は、コスタリカです。

スペシャルティコーヒーにおいて、マイクロミル革命やハニープロセスなど話題に欠かないコスタリカ。今やスペシャルティコーヒーを代表する生産国の1つです。我々もコスタリカに駐在員を派遣している事もあり、皆様も身近に感じて頂いている生産国なのではないでしょうか。

SCAJでは、改めてコスタリカの生産処理に着目して、5つの生産処理をピックアップします。ブラックハニー、イエローハニー、フリーウォッシュドといった聞き馴染みのある生産処理はもちろん、ダブルウォッシュドやナチュラルもご用意します!その中で、今日はダブルウォッシュとナチュラルのご紹介。

今回ダブルウォッシュでは、まず通常のウォッシュ(コスタリカでは、発酵槽は使わず、ミューシレージ・リムーバーという機械を使います)の工程で、パルピングし、ミューシレージを取り除きます。通常は、この工程で出たウェットパーチメントを乾燥させるのですが、ダブルウォッシュでは、このウェットパーチメントをさらに半日から一日、水に漬けます。そうすることで、機械ではわずかに残ったミューシレージが自然発酵し、脱水とともに取り除かれます。また、水に漬けることで雑味が抜け、クリーンカップの高い豆になるとも言われています。通常のウォッシュの工程にもう一段階水洗工程を入れるので、ダブルウォッシュもしくはダブルフリーウォッシュと呼んでいます。

続いて皆様ご存知のナチュラル。今回SCAJでご紹介するナチュラルは、ウエストバレーのテラ・ベジャ農園のナチュラルです。テラ・ベジャ農園のナチュラルは、収穫期のピーク、一番コーヒーの熟度が高く、揃った1-2月に収穫したチェリーのみで作ります。まず、丁寧に収穫したコーヒーチェリーを水で洗いながら、過熟・乾燥した軽いチェリーを取り除きます。それを1日パティオで乾燥させたのち、ビニールハウス型のアフリカンベッドでゆっくりと乾燥させます。乾燥日数はおよそ4週間。その間、毎日チェリーを撹拌し、色が薄かったり、色が濃くても熟していないチェリーを丁寧にハンドピックで取り除いていきます。その後、1-2か月の熟成期間を置き、脱殻、選別、輸出されます。

また大きな特徴として、テラ・ベジャ農園は水分活性値の測定研究を行い品質にフィードバックしています。水分活性とは、一般的に食品の劣化・腐敗に関係しています。水分には、微生物が利用できる「自由水」と、微生物が利用できない「結合水」があります。また自由水は菌や微生物が繁殖に利用される水分であり、「自由水」の減少は食品の劣化・腐敗を防ぐ効果があります。その自由水の割合・量を「水分活性値」(AW)で示され、食品の保存性の指標として用いられています。
一般的にコーヒーの世界では、水分値が使用されますが、そこには、「自由水」と「結合水」の区別がありません。ただ、ここ数年、この水分活性値がコーヒー生豆の劣化(いわゆる枯れ臭や味の抜け)と深い関係があるのではないかと検証がはじめられています。そこで、カルロス氏はアメリカの測定機器メーカーDecagon社に共同研究を呼びかけ、自分の農園を提供し、テラ・ベジャのデータは、毎日アメリカへ衛星通信でデータ送信されています。そうして乾燥方法(温度、湿度、日光など)によって、どのように水分活性値が変わるのか、そして、その後どのように風味が変化するのかを1年間を通して、追跡しています。そして、枯れ味の出にくくなる理想的な乾燥方法を科学的に探りだそうとしています。また、来クロップは、大学機関と発酵・プロセスに関する研究をする予定だそうです。

まさに、最先端を駆け抜けるコスタリカ。トレンドを自ら生み出す姿勢は、どの生産国よりも高い生産意識を感じます。その中で生まれた良質な風味特性、今まで感じた事の無いフレーバーを是非感じてください。
ちなみに駐在員の酒井は、パストーラ・ブラックハニーが一押しとの事です(笑)