SPECIALTY COFFEE WATARU

こんにちは。瀬下です。前回に引き続き、今日はウエストバレーのマイクロミルの様子をレポートしたいと思います。前編と題し、エルバスとビスタ・アル・バジェの2つのマイクロミルをご紹介できればと思っています。ヴィスタ・アル・バジェは、2013年COEにて、エルバスは2015年COEにて優勝をしたマイクロミルです。

【エルバス・マイクロミル】

　セントラルバレーから約2時間。エルバス・ミルは、ウエストバレーの約1500ｍの高地にあります。2015年はCOEにて同ミルのSL品種が優勝。ウエストバレーのマイクロミルのパイオニアであり、多種多様な品種を生産し成果を上げている事でも有名です。今年はセントラルバレーと比較しても収穫が遅れている様子はなく、生産量も多く3/10までの収穫を予定しているとのこと。今年は、ビジャサルチ、SL28、ゲイシャ、エチオピア、ブルボンのほかにも、ティピカ良性交配4代目のハイブリッドなど様々な品種を生産していました。
　品種と土壌の適合性、相性に関してこだわりが大きく、COEで優勝をしたSL28もCOEに出品するだけのロットを作るのに8年の年月が費やされたそうです。当初生産量は少なかったものの、現在のエルバスのSL品種は、ビジャサルチと同レベルの生産量を誇るそうです。これは、生易しい事ではなく、土壌や生育環境を徹底して整えたエルバスだからこその成果と言えます。木と木のスペースや肥料の量、有機、化学、枝葉用の費用など、コストはかかるものの、こうした特別な管理をする事で安定した収穫量とクオリティを実現しています。
　また、昨年COEで優勝した際の賞金で、今年は新たにビニールハウスの乾燥場を設置。この中では、実験的にハイブリッド品種のナチュラル、通常よりもミューシレージの多いハニープロセスなどの生産処理が行われていました。様々な試行錯誤を繰り返しながら、いつか我々の手に届くかもしれませんね。

【ヴィスタ・アル・バジェ】

今年で4年目を迎えるヴィスタ・アル・バジェ・マイクロミル。農園自体は33年の歴史があり、昔は牛舎でチェリーを運んでいたようですが、この農園が注目されたのは、ミルが始動した初年度、なんとそのバージンクロップが2013年のカップオブエクセレンスでの優勝を果たしたのです。
フィデル、サポテ、ラ・カサの3つの農園を所有し、三人の息子マルコ、フランク、ホルコと農園を切り盛りしています。COE1位を獲得したフィデル農園は、もともとは牧草地でマイクロミル設立にあたってビジャサルチを新植したエリア。1位獲得にあたっては、土壌分析や植物分析に基づいて、肥料や栽培方法の改善を徹底したといいます。また、ウェットミルがとにかく清潔に保たれており、パティオの匂いもストロベリーのような香りがあり、1位を獲得したことにも納得でした。
また、まさに収穫直前のチェリーを食べてごらん？と一口。一面均一に熟したチェリーは、花の蜜のような甘くふわっとしたミューシレージで、土壌や木々の手入れがどれだけコーヒーの熟度や味わいに寄与するのか、農園主のオルデマールさんの勤勉さと生産に対する意識が見て取れる甘いチェリーでした。