SPECIALTY COFFEE WATARU

こんにちは。瀬下です。コスタリカレポートも後2編となりました。ニュークロップ到着までゆっくり読み返していただきながら、楽しみにしていただければと思います。本日は、タラス地区中編。ロス・アンヘレス、グラニートス・デ・アルトゥーラ・デ・オルティス、モンテコペイの3つのミルをレポートいたします。

ロス・アンヘレス・マイクロミル

2008年にスタートしたカルデロン一家のマイクロミル。COE優勝の経歴もあり、現在は、弊社でも毎年購入しているエストレージャなど15農園を所有しています。栽培品種は、カツアイ、イエローカツアイ、ビジャロボス、ゲイシャなどを栽培しており、今年からティピカ・メホラードと彼らが呼ぶティピカの良交配種を収穫しカッピングにも登場しました。これは、当初ゲイシャとして入手した種が実際にはティピカ品種であり、生産量がティピカよりも（もちろんゲイシャよりも）良好だったことからメホラード(良性)と呼んでいました。風味特性は、ゲイシャを思わせるジャスミンのようなフレーバーがありながらも、厚みのあるマウスフィールが特徴的で、エスプレッソビバレッジにはゲイシャ以上に向いているように感じます。バリスタチャンピオンシップなどの競技にも勧められる印象でした。
また、ミルでは今年リムーバーを新しく購入し、品質の向上を図っています。ここのDry Millは電子選別機以外の全てが揃っており、十分な生産処理が行われる環境が整っていました。

グラニートス・デ・アルトゥーラ・デ・オルティス

ロス・アンヘレスミルのカルデロンさんの弟さんが独立して設立されたミルで、一家の娘である4姉妹の次女以下3人が中心となり、現在は管理されています。
2000m級の高標高農園など7農園を切り盛りし、今年はパライソ農園を新たに立ち上げました。ここでは、1900mにティピカやSL28、ゲイシャの希少品種3品種を植えています。
生産処理は、ウォッシュド、ハニー、ナチュラル、ダブルフリーウォッシュドなど主要な生産処理はすべて行っており、訪問時はイエローカツアイのナチュラルをビニールハウス内のアフリカンベッドで生産していました。イエロー品種は、ピッキングの難しさがある為、ミルで働くスタッフの労力を考えると、この苦労が実るよう、とにかく出来上がりが良い事を期待したいです。
　また、オルティスでも、ティピカ・メホラードを生産しており、こちらのカップも素晴らしい出来でした。

モンテ・コペイ・ミル

モンテコペイが、ミルを始めたのは7年前から。ワタルとは約5年の付き合いになります。同ミルの2014年COE優勝・2位・4位・5位の4つの受賞で一躍ブレイクしたモンテコペイ。当のファミリーはそんなことは関係なく、1年かけて農作業をする事の大切さを感じながら、農園に合ったコーヒーは何か？を真剣に研究していました。その為に、新しい農園を買い、様々な品種で新しい味を生み出して提案したいと言っていました。1番新しい農園は、ティエラ・プロミティーラ(約束の土地)と名付け、ビジャロボスとブルボンを栽培しています。この農園の狙いは、両品種のミックスロットの形成。実が熟すタイミングが同じ品種を選び、ビジャロボスの華やかさとブルボンの甘さが合わさる事で新しい味わいを生み出したいと言っていました。訪問の前の週から収穫が始まったようで、低地から高地まで一斉に実が熟した為に20人のピッカーでは少し人で不足の様子でした。

　メサ農園で収穫される熟度の高い豆を最も活かすならダブルフリーウォッシュドが良いとの事。これはリムーバーではミューシレージが一部残る為に、より均一化できるためと言います。そして冷たい水で豆がより引き締まるとの事。その他に、トリプル・ラバードという生産処理メソッドを行っていました。これは、パルピングをした後に、水無し発酵槽で24時間のファーメンテーション。その後に1度水洗、その水洗したコーヒーをもう24時間ソーキングする。これにより甘さを3倍感じてもらうのが狙い。このプロセスは、豆そのままの味に依存する為、熟度やピッキング精度が非常に重要。また、ドライングに関しても、パーチメントが非常に薄くなるために35度程度のビニールハウス内で22日間のスロードライが必須とまります。
なお、お父さんのドン・エンリケさんは生産者の中でも、手が大きくて有名です。