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生産処理は日々進化。改めて復習を!

こんにちは。瀬下です。今日は、ウェットミルでの生産処理について改めて復習をしていこうと思います。生産国では毎年新しい試みがされており、昨今は教科書的な生産処理だけではひとくくりにできない変化をしつつあります。現在、スペシャルティコーヒーにおいてメジャーな生産処理を中心に振り返っていただき、最新の生産処理を理解するヒントにしていただければと思っています。

メジャーな生産処理一覧

【ナチュラル】
コーヒーを外果皮の付いたチェリーのまま乾燥させるプロセスです。ブラジルでは、収穫後のチェリーを水路で比重選別し、浮いたチェリーはナチュラルとして別途選別されていたりします。中米の場合には、手収穫・選別のためブラジルの比重による選別と違い、チェリーの状態によって明確にプロセスを分けるわけではありません。(※一部に糖度などを図り、糖度の高いチェリーのみナチュラルにする生産者もいます。)中米においては、比重の重い完全完熟チェリーもナチュラルとして扱う為に、このあたりがブラジルなどの機械収穫と中米の手収穫によるナチュラルの風味の傾向差になってくるように思います。
ニカラグアのリモンシージョ農園で行われているファンキーナチュラルは、通常はそのまま天日乾燥に掛けられるチェリーを、一度袋に詰め、水を加えた後に黒いビニールシートで被い一晩発酵を促しています。その後、急激な乾燥でコーヒー豆にダメージが発生しないように、乾燥は水分値が12%になるまで、20日以上の時間を掛けて慎重に乾燥されます。こうする事で、独特のワイルドでサワークリームのようなフレーバーを生み出しています。こうした、乾燥の工夫は、他の生産処理においても重要なファクターとなっています。
この他に樹上乾燥を行うドライオンツリーや、こうした一般的に過熟という認識のボイアを1日水に浸けふやかし、強制的に剥いた後乾燥させるダブルパスなど、特殊な生産処理も見受けられます。

【ウォッシュド】
伝統的なウォッシュドプロセスは、図に書いたようにパルピング後に発酵槽に浸け、ミューシレージを分解し、水路などを通しウォッシングが行われます。ミューシレージリムーバーの水圧によってミューシレージを除去するケースもあり、メカニカルウォッシュドやコスタリカのホワイトハニー(セミウォッシュド)という表現をされることもあります。水を張った発酵槽での発酵工程を伴うとフリーウォッシュドという場合もあるのですが、このあたりは生産国側でも違いがあり実際には曖昧です。

 

 

 

【パルプドナチュラル】
パルパーやグリーンセパレーターなどで外果皮を剥き、ミューシレージが付着した状態で乾燥させるプロセス。コスタリカなどで用いられるハニープロセスは、ミューシレージリムーバーの水圧を変える事で、ミューシレージの除去率を変えています。

 

 

 

【ハニープロセス】
コスタリカで生み出された生産処理プロセスで、パルプドナチュラルに大別されます。ミューシレージリムーバーの水圧によって、ミューシレージの除去率を変え、よりテクニカルにパルプドナチュラルが行われているようなイメージです。ミューシレージを除去するホワイトハニー(メカニカルウォッシュ)、ミューシレージを5割程度の残すイエローハニー、ほぼ100%残すレッドハニーが代表です。こうしたハニープロセスの細かな表現も農園により変化があり定義付けはしきれていないのですが、ブラックハニーは、100%ミューシレージを残した状態かつ糖度が高いチェリーをスロードライングした処理とコスタリカのブルマスなどでは表現しています。スロードライを行う事で、パーチメントの色が黒くなる為、ブラックハニーと呼ぶようになったようです。撹拌の回数などでもパーチメントの色の変化が出てくるので、乾燥方法によって分類されるケースもあります。

 

【ケニア式/ダブルフリーウォッシュド】
ウォッシュドプロセスでウォッシングさせたパーチメントコーヒーを一定時間きれいな水に浸けた後に乾燥させるプロセスです。いわゆるソーキングというプロセスで、グアテマラのエル・インヘルトもこの方式を取っています。風味に対する影響は諸説ありますが、クリーンになる為にアシディティや甘さが明確になるとも言われています。コスタリカなどでは、ホワイトハニーの後に、ソーキングを行う事をダブルウォッシュドやダブルフリーウォッシュドなど読んでいます。モンテコペイでは、甘さを強調する目的でソーキングを2回繰り返すトリプルウォッシュドを行っていたり、パストーラでも3日間水を入れ替えながらソーキングを行う独自のケニアプロセスがなされています。ただし、ソーキングを行う事でパーチメント自体の強度が落ちるために、こうした特殊プロセスの乾燥にはかなりデリケートになるようです。

【アナエロビコ】
昨年のコスタリカCOEの上位でこのようなプロセスのコーヒーが出品されました。シナモンのようなフレーバーを有したこのプロセス。嫌気性発酵(アナエロビック・ファーメンテーション)とも呼ばれています。
何がされているかというと、イエローハニーやホワイトハニーなどで除去された別ロットのミューシレージとレッドハニー(ミューシレージがまだ付いたパーチメントコーヒー)を1つのタンクに浸けて密閉。ミューシレージの酵素反応によって発生する炭酸ガスの圧力によって、パーチメントコーヒーの中に通常以上のミューシレージ成分を浸透させることが狙いです。ウエストバレーでこの生産処理を行っているルイス・カンポス氏は、15~18時間の密閉状態を作り、このプロセスを実践しています。また、このプロセスの肝となるのは、良い条件で生産・収穫された完全完熟チェリーが2ロット必要な点です。この双方のチェリーが共に良い状態で揃わないと、不完全なミューシレージ成分を付着させる事となり、求めた味わいは再現できないと言います。
この他にも、今年のベストオブパナマで見かけたマンゴーピューレに付けたコーヒーやエスメラルダが二酸化炭素充填で密閉発酵させるカルボニック・マセラシオン(アナエロビコのミューシレージなしのようなイメージ)をしていたり、密閉せずにミューシレージを追加してシュガースイートと呼んだり、様々な独自性の探求が日夜行われています。